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【挑戦者インタビュー01_後編】止まっているだけでは成長しない。動き続けていれば、必ず解決の糸口が見つかる。

沖縄の自然の恵みを活用し、昔ながらの方法で塩づくりを行なう高江洲優さん。周囲には民家や畑が少ないため、生活排水や農薬による海水の汚染の心配が少なく、綺麗な海水に恵まれていることがここで塩づくりを始めた一番の理由だったといいます。

塩づくりの自由化が始まったのは2002年。それを機に海外諸国から数多くの塩が続々と輸入され始め、多種多様な食用塩が出回るようになりました。高江洲さんは、そんな状況を「売れている塩=良質な塩とも限らない」と話します。
多様な塩が流通するなか、本当に身体に良い塩とは?と考え、自然の恵みである海水・太陽・風を活用した「流下式塩田」での塩づくりを選んだのです。

高江洲さんがこの場所で塩づくりを始めたのは2010年。それまでこの場所では、海外から輸入された塩を使って塩づくりを行なう企業が工房を構えていました。この企業に勤めていた高江洲さんは、企業が塩づくりを撤退することを機に、独立して塩づくりを行ないたいと、釜と建物を引き継いで新たな塩づくりの挑戦をスタートさせました。

とはいえ、「流下式塩田」以前の塩づくりは全くの素人。日本全土でも珍しい製塩方法は、現存する例も少なく、兵庫県赤穂市の「赤穂市立海洋科学館 塩の国」で稼働する形で展示されている「流下式塩田」まで実際に足を運び独学を重ね、なんとか塩田を完成させます。
それでも1年目は商品になるような塩ができず、翌年には大型台風で塩田が倒壊。

「今思えば一番苦しい時期でしたね。家族には一番迷惑をかけたかもしれません。でも家族や仲間が支えてくれたから、また踏ん張ろう…と思えるようになった」と当時の状況を振り返ります。

その後、枝条架式塩田の支柱が倒れないよう補強をし、竹枝を取り外しができるよう、台風の多い沖縄の気候に合わせて塩田に改良を重ね、ようやく安定して塩づくりが行なえるようになります。

「塩づくりはいまだに試行錯誤。塩分濃度が濃すぎても苦味の残る塩になってしまうし、美味しい塩を作りつづけるためには、ちょうどいい塩梅が大切…塩だけにね」とお決まりの塩ダジャレを加えながら笑顔を見せる高江洲さん。
自らを塩職人と名乗る高江洲さんは、この塩づくりの工程をお一人で担い、今も毎日塩づくりに励んでいます。

作る先には販売という壁も。もちろん販路開拓も高江洲さんの担当。無料での工房見学や製塩体験(有料)を行ない、忙しい合間でも訪問客を丁寧にもてなし、積極的に知ってもらう活動に精を出しています。
そうした活動が徐々に実を結び、県内各地にあるホテルでの取り扱いや、コラボ商品の開発なども広がっています。

なんども行き詰まり、ダメだと思ったこともあるなか、高江洲さんを鼓舞しつづけたのは、ひとつの信念。
「ひとりが利益を得るようなものづくりではなく、本当に良いものを作るという実直な姿勢が大切。自信をもってできたものを美味しいと言ってくれることが一番の喜び。どんなに大変なことがあっても、それを壁だと思えば壁になってしまう。でも乗り越えれば通過地点。同じところに止まっているだけでは人は成長しないですしね」。

そして今、また新たな挑戦として、この伝統的な手法を用いた塩づくりを台湾で展開すべく精力的に活動中。精力的に活動する高江洲さんの姿を見て、次々に良縁や応援者が現れてくる。挑戦を続けることで広がる高江洲製塩の未来には、まだこの先に見たことのない景色が待ち受けていることでしょう。

【DATA】
浜比嘉島の塩工房 高江洲製塩所
沖縄県うるま市勝連比嘉1597
TEL. 098-977-8667
定休日:日曜、祝祭日
http://hamahigasalt.com
※見学無料、塩づくり体験受付中(要予約)

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