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【挑戦者インタビュー01_前編】太陽と風の力を使った、昔ながらの塩づくり。浜比嘉島で始めた高江洲優さんの挑戦。

うるま市島嶼地域にある浜比嘉島。海中道路を渡り最初にたどり着く平安座島から右手に見える大きな浜比嘉大橋を渡った先にその島はあります。
浜比嘉島には「浜」と「比嘉」というふたつの地域に集落が点在しており、比嘉方面へすすみ南下していくと「塩工房」という看板がちらほら。ここで塩づくりを営む高江洲優さんの「高江洲製塩所」です。この場所で塩づくりを始めて、今年で11年目を迎えます。

工房の奥には、縦横に交差して組まれた3階建の木の支柱に、竹枝をおおうように被せた一見不思議な構造物が。その手前には、緩やかな傾斜のある水路があり、その奥に大きなタンクが見えます。

これは、高江洲さんがこだわる「流下式塩田(りゅうかしきえんでん)」と呼ばれる製塩法。工房の目の前に広がる美しい浜から、ポンプで海水を汲み上げてタンクに運び、竹枝を被せた枝条架の上に海水を流していきます。上から流された海水が、竹枝を伝い下へ落ちていく中で、太陽と風の力で水分が蒸発し、より濃度の高い海水となります。海水が下に落ちると、といを伝って流下盤と呼ばれる緩やかな傾斜の水路を伝い、またポンプで枝条架の上へ。この循環を繰り返すことで、塩分濃度を上げていきます。通常の海水1トンを釜で炊いても、出来上がる塩は30キロほど。塩分濃度を3〜4倍にあげることで、同じ1トンの海水量でも仕上がる塩は150キロほどになります。

とはいえ、(3トンの海水)が一周循環するだけで約1時間。理想の塩分濃度まで冬は1日、夏は2〜3日ほど時間を要します。途中で雨が振ってしまうと一気に濃度が下がるため、循環させていた海水は廃水しなくてはいけません。人の力でコントロールできない自然と対峙する塩づくりは、聞いているだけでも気が遠くなりそうな作業です。

そんな状況を
「塩だけにしおがない(しょーがない)」と笑って説明する高江洲さん。

台風時には全ての竹枝を枝条架から取り外し、骨組みの状態にしてワイヤーで固定して対策するのですが、台風が運んできた木の葉などを掃除するだけでも2、3日を費やしてしまうのだと言います。また自然の力を使う流下式塩田はメンテナンスにも時間がかかります。

自らを塩職人だと話す高江洲さんは、この塩づくりの工程を一人で担当。濃度を上げた海水を、釜で炊き上げ塩を結晶化させるのに4時間。結晶化した塩から適量のにがりを抜くのに2日。そして乾燥に3,4日。海水をポンプで汲み上げる工程から問題なく進行できたとしても、1回の塩づくりに1週間以上の日数を要するのです。

聞くだけで大変そうな流下式塩田での塩づくり。高江洲さんがここまで自然の力を活用した昔ながらの塩づくりにこだわるのか?そしてこの地を塩づくりの場所として選んだ理由はなんだったのでしょう?

02へ続く。

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